
カスタマーストーリー
巨大小売グループがガバナンスの効いた グループ企業間のコラボレーション レイヤーとしてSnowflakeを採用 データ利活用の生産性向上に取り組む
300社のグループ企業、60万人の従業員を要するイオングループが、各社が持つデータの利活用促進のためにSnowflakeで構築したデータコラボレーションレイヤとは。
KEY RESULTS:
1000
万人以上会員アプリiAEONDL数


業種
Retail & Consumer Goods所在地
千葉県千葉市デジタルシフトの加速と進化を目指し300社のグループ企業のデータコラボレーションを促進
グループ企業数は国内外で300社。約60万人の従業員を擁するイオングループにとり、以前から大きな課題となってきたのが、顧客行動履歴をはじめとするグループ各社が持つデータの利活用促進だった。その第一歩として、グループ共通データ基盤を新たに構築した同グループが次の一手として取り組むのが、Snowflakeによるデータコラボレーションレイヤの構築だった。グループデータ基盤をラッピングする形で進む、ガバナンスが効いたデータ共有の新たな仕組みは、データ利活用の生産性向上においても大きな役割を果たすことが期待されている。
Story Highlights
- データ利用サイドに多様な選択肢を提供
- データ利活用の活性化、生産性向上に貢献
- リテールメディアのビジネス化でも期待される
緩やかな連帯がグループ内のデータ利活用の大きな障害に
イオングループが国内外に展開する店舗数は1万8000店舗弱。約60万人の従業員が働く巨大企業グループの歴史は、合併、業務・資本提携の歴史でもある。1970年の岡田屋、フタギ、シロのローカル企業3社の提携により生まれたジャスコ株式会社(現、イオンリテール株式会社)が、ダイエー、マルエツ、いなげや、キャンドウ、ウェルシアをはじめとする多様な小売企業を傘下に迎えるにあたり、常に重視されてきたのは各社の歴史的背景や企業文化を尊重する姿勢だった。「緩やかな連帯」とも呼ばれるこの方針は、グループの急速な拡大において大きな役割を果たしたが、その一方で、データ利活用の観点においてイオングループがシナジーを発揮する上での大きな制約にもなってきた。グループの純粋持株会社であるイオン株式会社CTOの山﨑賢氏はこう説明する。
「緩やかな連帯と言うと聞こえはいいのですが、グループ各社が以前の基幹システムやPOSシステムを引き続き使い続ける状況は、データ利活用の大きな障害になっています。重要な顧客接点である会員アプリの運用は、その分かりやすい例です。イオン、ミニストップ、イオンモール3社だけを見ても、それぞれが独自にアプリを運用し、会員の購買行動データが一元化できない状態が続いていました」
イオングループは、2021年からの3年間で合計3000億円超のデジタル投資を行っている。この問題の解決は、「デジタルシフトの加速と進化」を掲げた一連の取り組みの重要課題の一つだった。
その第一歩が、グループ共通の新会員アプリ「iAEON」による顧客ID統合だった。iAEONのDL数はすでに1000万を超え、ID統合において一定の成果を挙げた。だが新たな顧客接点に基づき、購買行動を可視化するには、IDとグループ各社のPOSデータと紐づける必要がある。会員アプリ開発と並行してグループが取り組んだのが、グループ各社のデータを吸い上げる新たなデータ基盤の構築だった。そこで浮上したのが、約300社のグループ企業が持つ、データフォーマットやプロトコルが異なるデータをどうやって収集するかという問題だった。この問題にイオンは専用ETLを開発することで対応している。
「こちらで仕様を決め、各社に対応してもらう方が効率的にシステム構築できたかもしれません。一方で、そうしたやり方についてこられない企業が現れることも予想されました。ほぼスクラッチで内製によるETL開発を行った背景にはこうした事情がありました」と山﨑氏は振り返る。
フルスクラッチで内製開発したグループ共通データ基盤は、2024年春から本格稼働を開始している。2024年9月時点で、280TBの容量を持ち、毎日POSデータだけで180GB前後のデータが追加されるグループ共通データ基盤の活用は、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)をはじめ、すでにさまざまな形で進んでいる。中でも興味深いのが、店舗の棚割に対応した商品在庫や販売状況の可視化だ。スマホアプリを介して店舗スタッフがリアルタイムで在庫を把握することもでき、さらに今後は地磁気センサーなどの最先端測位ソリューションとの連携により、より効率的なネットスーパー注文のピッキング支援などにもデータを活用する考えという。
Snowflakeでガバナンスが効いたデータコラボレーションを図る
イオングループのデータ利活用には、顧客接点の重複に加え、もう一つ大きな問題があった。グループ企業間の利害の不一致である。イオングループでは、傘下食品スーパー店舗が、同一商圏のライバルであることが珍しくなく、こうした場合、顧客データ共有に制限を課す必要がある。現時点のデータ利活用は、BIツールで分析を行い、その結果をグループ各社に提供することに留まっているのが実情だ。
「当然のことですが、データ利活用の促進には、各社のデータサイエンティストやデータエンジニアがローデータにアクセスできる環境が不可欠です。その実現には、ガバナンスを効かせたデータ利活用、データ共有の仕組みを新たなレイヤーとして構築する必要がありました。実は当初、データ共有レイヤーについてもスクラッチ開発を前提に話が進んでいました。背景に、データ収集レイヤーの成功体験もあったと思いますが、システムは一つの思想でまとめあげるのではなく、適材適所で考えていく必要があります。確かにデータ収集についてはETL開発が効果的でしたが、データ分析の場合、今後の展開を考えると、今の各社の仕組みを合わせるより、多様なアウトプットを用意した方が望ましいことは間違いありません」(山﨑氏)
既存ソリューション活用を選択したイオングループが、各社ソリューションを比較した上で選んだのはSnowflakeのデータ基盤だった。
「すべてのビジネス課題を一撃で解決する“銀の弾丸”は存在しないと私は考えています。ツール選びもそれは同じです。イオングループのコラボレーションレイヤー構築では、すでにお話しした通り、データ利活用における選択肢を数多く提供していくことが大きな意味を持ちました。こうした観点から、多様なプロトコルに対応し、多くの製品と連携するSnowflakeを選択しています。またデータクリーンルーム(DCR)概念の先駆者であり、多様なデータ提供パターンを持つSnowflakeの採用が、グループ各社のデータ利用者の知識水準向上に役立つのではないかという期待もありました」(山﨑氏)
データ受け渡しに関する不毛なやり取りを一掃
こうした中、山﨑氏がSnowflakeの特長として挙げるのはシステム構築における生産性向上への貢献だ。
「Snowflakeは製品としてある程度完成され、コネクティビティやコラボレーションに関する多様な機能がユースケースとしてすでに確立されているため、ユーザーが自分たちにとって最適なコネクト方法を選択することができます。フォーマットの選択やCSV出力する項目などから話を始めるのではなく、今は『こんなデータがほしい』『こんなデータメッシュを組もうと思っている』という本題から話が始められる意義はやはり大きいと思いますね。データ受け渡しに関する不毛ともいえるやり取りが不要になったことは、システム構築の生産性向上にも確実に貢献しています」
商品情報を統合管理する巨大DWHにもSnowflakeを採用
Snowflakeによるグループ各社の枠組みを超えた新たな購買行動分析基盤は、イオングループのデジタルシフトの加速において大きな役割を果たすことが期待されている。またイオングループではそれ以外でも、Snowflakeによるデータ利活用の取り組みが進行している。その一つが、グループ全体の商品マスタとそれに紐づくデータを管理する商品DWHのSnowflake移行によるデータ利活用の促進である。その狙いを山﨑氏はこう説明する。
「500以上のETL、7000以上のテーブル、400TB以上のデータを持つ商品DWHのデータ分析を自由に行うことはその規模感もあり難しく、これまでは分析結果をBIツールで提供してきました。分析したいと思ったときに自由にデータにアクセスできる環境をグループ各社に提供する目的でSnowflakeへのマイグレーションプロジェクトを現在推進しているところです」
またイオングループは、各社が保有する購買行動データを活用した新たなリテールメディアを立ち上げ、新たな収益源とすることを予定しているが、そこにおいてもSnowflakeが大きな役割を果たすことが期待されている。

「すべてのビジネス課題を一撃で解決する“ 銀の弾丸”は存在しないと私は考えています。ツール選びもそれは同じです。イオングループのコラボレーションレイヤー構築では、すでにお話しした通り、データ利活用における選択肢を数多く提供していくことが大きな意味を持ちました。こうした観点から、多様なプロ トコルに対応し、多くの製品と連携するSnowflakeを選択しています。またデータクリーンルーム(DCR)概念の先駆者であり、 多様なデータ提供パターンを持つSnowflakeの採用が、グループ各社のデータ利用者の知識水準向上に役立つのではないかという期待もありました」
山﨑 賢氏
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